■ペット・ロスとは?
■コンパニオン(伴侶)としての動物
■ペット・ロス時にみられる心や体の変化
■悲しみからの立ち直りのプロセス
■医療に関して後悔しないために
■高齢者にとって動物を失うということ
■ペット・ロスに年代(年齢)、性別による違いはあるか?
■ペット・ロスの悲しみから立ち直るには?
■周囲の人々のフォロー(何ができるか、どう接するべきか?)
 人間が動物を使役動物としてではなく愛玩あるいは伴侶動物として共に生活するようになったのは、紀元前のことであるとされています。その当時の人々も愛する動物を失った時には私達と同様の悲しみを経験したものと想像されますが、定かではありません。なぜ、近年これ程までに人と動物の絆そしてペットの死といったことが注目されるようになったのでしょうか?動物との絆が深まる背景として、社会において人間が感じる孤独感や分離感を充足し、ストレスを解消し、また安らぎや仲間を求める気持ちを満たしてくれる対象としてのコンパニオンアニマルがあったのではないでしょうか?そして、実際に多くの人々が動物とのよい関係を持つことにより身体的および精神的な恩恵を得ていることが証明されています。
 日本において、広く一般家庭で犬がペットとして飼育されるようになったのは、昭和40年代後半に入り、人々の生活に経済的なゆとりが生まれ、多くの人々が中流意識を持つようになってからと考えられます。もちろんもっと早い時期から一部の人達によってペットとしての犬が飼われ、ドッグショーも開かれていました。年代を経るに従い日本の家族形態は変化し、核家族化そして少子化が進みました。最近では単家族と呼ばれる一人住まいの人が増加しています。生活の基盤である家族形態の変化は家庭内における動物の立場を変化させるひとつの要因であったと考えられます。番犬としてではなく、家族の一員として家族に迎え入れられた犬達は家の外の犬小屋ではなく、家族と同じ屋根の下で生活するようになってきました。こうして犬達は私達と寝起きを共にし、外出から戻ればいつもにこにこ顔で迎えてくれ、誰にも言えないことも文句を言わず黙って聞いてくれ、寂しい時や悲しい時には常に傍らに寄り添っていてくれる、そんな存在になっているのです。ある人にとってはたった一の家族であり、周囲のだれよりも大切な存在となっていることもあるのです。
 獣医学の発達および家族の意識の向上にともない、感染症に対する予防が進み、動物の栄養状態もよくなりました。このため、20年程前に比べると動物の寿命は確実に長くなり、1頭の動物と共に暮らせる時間が長くなりました。その分、絆も強くなったのではないでしょうか。逆に、動物の平均寿命が短かかった時代に比べ、代謝性疾患や癌などの発生率が高くなっており、家族にとっては厳しい決断を迫られる状況が生じることも多くなっています。
 これらのことを背景として、動物達は益々多くの人々の非常に身近な存在になってきました。当然、これらの動物を失った時、深い悲しみを経験する人々も多くなったと考えられます。
 
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